変形労働時間制は、一定の期間(1か月以内、1年以内、1週間の3種があります)を単位期間として、単位期間内の所定労働時間の合計が平均して週あたりの法定労働時間(原則40時間)を超えない範囲で、1日又は1週の法定労働時間を超えても法定労働時間を超えたとの扱いをしない(割増賃金の支払いを要しないものとする)制度です。
なお、休日労働又は深夜労働については、変形労働時間制が適用される場合であっても、割増賃金の支払いを要します。
このうち1か月単位の変形労働時間制(単位期間を1か月以内とする変形労働時間制)(労働基準法32条の2)を適用するための要件として、とくに重要であるのは、原則として就業規則において、変形期間内の各労働日の労働時間を始業時刻・終業時刻とも特定しなければならないことです。業務の実態から月ごとの勤務割による必要がある場合であっても、就業規則において各勤務の始業時刻・終業時刻、各勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及び周知方法等を定め、これに従って勤務割を変形期間の開始までに特定することが必要です(S63.3.14基発150号)。
「1か月単位の変形制による」といいながら、就業規則等において変形期間における始業時刻・終業時刻の特定が何らなされていないようなケースでは、変形労働時間制の適用は到底認められません。